農業研究所⑦
稲品種改良の不思議
いかに病気を出させるかが鍵
稲にとって最も大きな被害を発生させる病気は「いもち病」です。この病気から稲が身を守るための力(抵抗性)には、2種類あります。1つの遺伝子で抵抗力を発揮する「真性抵抗性」と、1つ1つの作用力は小さいものの複数の遺伝子が集まることで被害を少なくする「圃場抵抗性」です。
真性抵抗性の検定では、柔らかく伸びた苗にいもち病の胞子を接種した後、湿度100パーセント、気温28度の部屋に24時間置いて感染させ発病状況を観察します。
圃場抵抗性の検定は畑で行います。畑で稲を栽培すると、水田で栽培したときより珪酸(稲に必要な養分の一種)の吸収量が少なくなりいもち病が発生しやすくなります。6月中旬から下旬に種まきを実施。苗の時期に気温が高いと葉が柔らかく生長しいもち病が出やすくなります。さらに、最もいもち病が発生しやすい梅雨時期を利用することも、圃場抵抗性検定の秘訣です。
新しい品種の病気に対する強さを見極めるためには、いもち病を発生させることがとても大切な鍵となります。
穂にいもち病菌が感染するとデンプンを蓄積する前に枯れたようになってしまいます。→