農業研究所②

稲品種改良の不思議

品種改良のための受粉方法

稲は自分のおしべから出た花粉が自分のめしべにかかり受粉が完了する「自家受粉植物」です。たとえば「コシヒカリ」の種を採れば、次の年も「コシヒカリ」ができます。
品種改良をする場合には、この自家受粉を防ぎ、他の花粉を確実にかけることが必要です。自然のままにしておくと、ほとんど他の花粉はかかりません。そこで裏技を使います。稲の花の中には、おしべとめしべがあり、おしべの先の葯(やく)の中には花粉が詰まっています。この花粉だけを殺して、めしべの機能を残す「温湯除雄法(おんとうじょゆうほう)」という方法を使います。開花直前の稲の穂を43℃のお湯に7分間浸けると、花粉の機能がなくなり受精できなくなります。その後めしべに、ほかの品種の花粉をかけてやれば交配は完了です。