富山湾の海洋深層水-研究施設の概要

富山湾の300m以深には、低温、清浄で、栄養塩に富み、水質の安定した日本海固有水と呼ばれる深層水が無尽蔵に眠っている。富山県では、この深層水の有用性に着目し、幅広い利活用の可能性を検討してきた。特に、水産分野では実用化への期待も大きいため、富山県と(社)マリノフォーラム21は、平成4~6年度に総工費約10億5,600万円をかけて、深層水利用研究施設を水産研究所内に整備した。この施設の完成により、深層水、表層水、地下水のそれぞれの特性を利用した深海性・冷水性生物等の栽培漁業が資源管理のための技術開発試験が可能となった。
 施設は、深層水取水管、取水ポンプ室、受水槽、機械棟、サクラマス飼育棟、低温飼育棟及び二次利用水貯水槽などからなっており、熱交換器を用いて深層水(5℃)、表層水(8~30℃)及び地下水(18℃)を各生物の適水温に調温して給水するシステム、深層水を0.5℃に冷却して給水するシステム、使用した深層水を循環させて飼育棟内を冷房するシステム、これを飼育水として再利用するシステム、飼育水モニタリングシステム、流水式加圧水槽が整備されている。


深層水取水施設

●取水量
125m3/h(3,000m3/日)

●取水海水温度
取水口において1℃~2℃、受水槽にて5℃以下

●取水口位置
海面下321m、海底面上約5m、沖合約2,600m

●取水管
(海中部)鎧装硬質ポリエチレン管内径250mm、延長2,630m(1本物)
(陸上部)硬質塩化ビニール管(一部ナイロンコーティング鋼管)、内径200mm、延長433m

深層水取水管海底敷設状況

深層水取水口(高さ5m)

流水式加圧水槽

熱交換機


施設配置図

サクラマス飼育棟内

低温飼育棟内