「立山 森の輝き」1~10号の優良品種認定とエリート無花粉スギ品種の開発

「立山 森の輝き」は富山県内3カ所の試験林で継続的な調査が行われており、本品種の成長と材質(図-1)は、既存品種のタテヤマスギ(精英樹①で造成した採種園由来の実生品種)より優れていることが明らかになっています。
県森林研究所では平成22年に造成した2カ所の試験林(立山町、砺波市)の中から、成長、材質、通直性、さし木の発根性に優れた10個体を選抜しました(図-2)。これらを「立山 森の輝き」1~10号と命名して、対照品種の精英樹と比較調査した結果、上記の林業上、有用な性質が精英樹を上回っていたことから、令和3年1月に行われた「優良品種・技術評価委員会」で優良品種として認定されました。
今後は、これらのさし木苗を大量に生産するため、採穂園②の造成を進めるとともに、「立山 森の輝き」1~10号と無花粉遺伝子をヘテロ型③で持つ富山県選抜品種「座主坊」④を交配することで、「立山 森の輝き」を総合的に上回るようなエリート無花粉スギ品種の開発を目指します(図-3)。

① 精英樹: 成長や材質などが優れた品種で林野庁に登録
② 採穂園: 効率的にさし穂を採取するため、樹形を低く維持した樹木園 
③ ヘテロ型(Aa):有花粉と無花粉の両方の遺伝子を保有し、花粉を作る。
            (A-有花粉遺伝子, a-無花粉遺伝子)
④「座主坊」: 富山県の多雪地域から選抜された品種で、成長や材質、雪害抵抗性に優れる。
「立山 森の輝き」1~10号と同様に優良品種認定を受けた。

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