食料の安定供給と生産性の向上のための技術開発

1水稲新品種育成
  戻し交配とDNAマーカー選抜を駆使して、既存品種に耐病性や高温登熟性などを付与し、高品質・良食味で安定した収量が確保できる品種を育成する。
2奨励品種決定調査
  水稲、大豆、麦類について、本県育成系統及び国・他県等で育成された品種の中から、本県に適する品種を選定する。
3飼料用イネ品種「つきはやか」の栽培技術および採種方法の確立
  稲発酵粗飼料(WCS)用として開発された「つきはやか」について、飼料用または採種用の栽培方法を確立するとともに、原原種・原種を生産する。
4「富富富」改良系統の特性検証と栽培技術の最適化
 「富富富」の改良系統について、栽培特性を把握するとともに、収量・品質を確保する栽培技術を検討する。
5子実用とうもろこしの安定生産技術の確立
  本県に適した品種について、安定多収栽培に向けた施肥量や栽植密度を明らかにするとともに、主要な害虫であるアワノメイガ等の防除方法を検証する。
6気象解析等による大豆の青立ち発生リスクの解明とその対策の検討
  「えんれいのそら」について、播種時期や基肥施用量と青立ち発生状況との関係性を検証するとともに、登熟後半の気温等の生育への影響を調査する。

水田農業の持続的な発展を支えるための技術開発

1水稲栽培における化学肥料使用量低減に向けた緑肥栽培技術の開発
  緑肥の種類、播種方法、鋤き込み方法を検討し、より導入しやすい省力栽培体系を確立することで、化学肥料の低減を図る。
2地力向上に向けた継続的な緑肥導入体系の実証
  土壌生産力の維持、向上や環境にやさしい農業の展開を図るため、緑肥を中心とした有機物施用技術を確立する。
3難防除病害虫対策試験
  苗箱施薬やドローンを活用した省力で効率的な薬剤防除法について検討する。
4ダイズ黒根腐病抵抗性系統のほ場評価
  ダイズ野生種から見出した黒根腐病抵抗性系統が持つ抵抗性遺伝子座を特定するため、ほ場検定を実施する。
5ハトムギ病害虫に有効な防除法の実証
  ハトムギ主要病害虫に対する新しい薬剤防除体系の効果の検証や超音波を用いたアワノメイガの防除技術の検討を行う。

環境と調和した安全・安心な食料生産のための技術開発

1水稲のプラスチック負荷を軽減した全量基肥肥料の開発      
  被膜にプラスチック樹脂を含まない硫黄被覆肥料等を配合した水稲「てんたかく81」、「富富富」および「コシヒカリ」の全量基肥用肥料の開発を行う。
2水稲「コシヒカリ」の乾田直播用全量基肥肥料の改良
  「コシヒカリ」乾田直播栽培において、収量、品質等の維持を図りながら、省力的で環境に配慮した全量基肥用肥料の開発を行う。
3緑肥連用による土壌の炭素貯留効果の評価
  温室効果ガス対策に向けて、農地土壌の二酸化炭素吸収源としての機能を検討するため、緑肥連用による土壌炭素貯留効果を評価する。

生産性・付加価値を飛躍的に高めるためのイノベーション

1リモートセンシングによる水稲の生育診断技術の開発
  マルチスペクトルセンサを搭載したドローンを用いて、水稲の生育量や葉色を迅速に精度よく診断するための植生指標および空撮条件を解明する。
2ドローンを活用した効果的な防除技術の確立
  農薬散布の効率化・省力化を図るため、土地利用型作物である大豆(エダマメ)等を対象に、農業用ドローンを活用した効果的な防除技術を確立する。

生産の基盤を支えるための技術開発及び調査研究

1原種生産事業・種もみクリーン原種供給センター事業
  奨励品種を中心とした水稲・大豆・大麦について、元種、原原種、原種の維持、増殖を行うとともに、これらの原種を需要に応じて生産し、種子生産農家に供給する。

2種子生産効率化技術の開発
  種子場における異型株や病害株の抜取りなどの作業を軽減するため、隔離栽培等による交雑防止技術、及び保菌診断による効率的な病害防除体系を確立する。

3新規除草剤・殺虫殺菌剤の実用性評価試験
  新規に開発された除草剤や殺虫殺菌剤の効果、砂壌土水田における適用性や作物の生育に及ぼす影響を評価し、農薬登録に関する基礎資料を提供する。

4発生予察事業
  各作物の病害虫の発生状況を定期的に調査し、病害虫発生予察情報を提供することで、適期適切な防除の実施を推進し、農作物の安定生産と品質の向上を図る。